歯を残すための治療
いつまでもご自分の歯でかんでいただくために
今の歯科医療は昔に比べて格段と進歩しましたが、医療技術がどんなに進歩しても、ご自身の歯を使って食事することが一番いいのは言うまでもありません。歯の治療をしたり、歯を失ってしまうと二度と元には戻りません。ご自分の歯で生涯食事をするためには、健康な状態を保つ、つまり悪くさせないことが大切なのです。
進行したむし歯や歯周病は抜歯することが多いのですが、当院では、マイクロスコープ(顕微鏡)による根管治療や予防歯科など、できる限り歯を残せるような取り組みをしています。他院で「抜歯しかない」といわれてしまった方も、一度ご相談ください。
歯を残すことが、なぜ大切なのか?かむことは健康を支える役目があります。もし食べ物をかまずに飲み込むと胃に負担がかかってしまいます。歯を失ったまま生活をすると、かつ舌が悪くなりうまく話すことができなくなり、表情も変わってしまい笑顔も自然と減ってしまいます。
さらに、かまないと脳に刺激が伝わらず認知症の可能性が高まることも最近の研究では分かっています。そうならないためにもすべての人に80歳でも20本の歯を残すことを目標としましょう。
歯を残すための取り組み
削る量は最小限に抑えます
削ってしまった歯は補綴物などで補うことはできても元どおりではありません。そして、歯は治療すればするほど寿命が短くなります。当院では削ることを最小限にとどめ歯を残すよう治療しています。
むし歯が進行しすぎた場合、歯を残す治療法として考えられるのが「根管治療」です。根管治療は、歯の神経が入っていた部分(根管)を専用の器具を使い、きれいに洗浄し、薬を詰めつめものを被せます。根管は木の根っこのように張りめぐらされており人によって形が違います。そのため根管治療を成功させるために必要なのは、ミクロン単位の高度な歯科技術で、一般的な歯科治療よりも、ずっと細かな作業が必要です。
マイクロスコープとは?
歯を拡大して確認できる高性能な顕微鏡です。最大で肉眼の約20倍での処置ができるため、今まで発見できなかった微少な患部の判別が、簡単にできるようになりました。マイクロスコープについて詳しく読む
日本人の歯を失う原因で最も多いのはむし歯ではなく歯周病が40%を占めます。そのため歯周病にならないことが生涯にわたって歯を残す重要なポイントです。しかし歯周病は自覚症状がほとんどなく、気づいた時は進行している場合が多いのです。
歯周病を未然に防ぐために、早期発見・早期治療がとても大切です。一番大切なことは虫歯や歯周病にならないように予防することです。大がかりな治療にさせないことで負担が少なくすむのです。
インプラントは最後の手段
インプラントは5年後の残存率が99%と高い数字であり、問題もなく残っています。しかし、 まず残せる歯をできるだけ守って、それでもダメなときの最終手段としてのインプラントと考えています。
また、インプラントは入れ歯やブリッジなどに比べて感染症の可能性があり、口腔ケアをしっかり行うことが大切です。口腔ケアを怠るとインプラント周囲炎になるリスク等を理解していただいた上で治療するようにしています。
ただし歯を残すことで生まれるリスクもあります
歯を残すことが良いとしていますが、歯や歯ぐきの状態によっては残すことで次のようなリスクを伴うことがあります。
重度のむし歯の場合歯の神経が死ぬことで痛みがなくなります。痛みがなくなったことで放置すると歯根の先でむし歯菌が炎症を起こし化膿したりします。化膿すると痛みが再発し、痛みだけではなく顎骨炎、歯性病巣感染なども誘発しより治療も難しくなり患者さんの負担がかかることとなります。
重度の歯周病の場合歯周病の症状が重度になると歯ぐきや顎の骨までも溶かします。歯もグラグラになり放置し続けることで歯が抜け落ちてしまいます。さらに放置すると歯周病は周りの歯にも影響を与えたくさんの歯を抜け落としてしまうことになります。治療も難しくなり費用もかさみます。